ビワの種の毒性と危険性|農林水産省がビワの有害物質について警告    

2017年12月に農林水産省より『ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう』という注意喚起がなされました。

ビワといえば、インドや中国では古くから病苦を癒すものとして扱われており、栄養面に優れた果樹として知られておりますが、なぜ農林水産省はこのような注意喚起をしたのでしょうか。

それは、ビワの種子に含まれる「アミグダリン」という成分に理由があります。

アミグダリンは、かつて『ビタミンB17』と呼ばれていた栄養素であり、がん・喘息・肝硬変・糖尿病といった慢性の難病に効果が期待できるとされてきましたが、現代医学ではアミグダリンをビタミンとする説を明確に否定しており、むしろ人体への悪影響が懸念されています。

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今回はビワの種に含まれているアミグダリンの毒性と摂取した際の危険性についてまとめてみました。

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アミグダリンとは

青酸配糖体の1種であるアミグダリンは、「レートリル」とも呼ばれており、主にビワ、ウメ、アンズ、モモ、アーモンド(ハタンキョウ)などのバラ科に属する植物の種や未熟な果実に多く含まれており、なかでも未熟な果実の種子にある「仁※1」と呼ばれる部分には他の部分とは比べ物にならないほどのアミグダリンが含有されています。

アミグダリンは、かつて「ビタミンB17」と呼ばれていた時期がありました。

しかし、医学の進歩によってアミグダリンが人体の代謝に必要不可欠な栄養素では無いこと、欠乏症も報告されていないことなどからビタミンの定義※2に反するとして、アミグダリンをビタミンB17と呼ぶことは適切ではないと判断されました

では、アミグダリンとはいったいどのような作用を持つ成分なのでしょうか。

アミグダリンを含むビワやウメなどの果実を傷付けたり、かじったりした際、種子内にある仁に存在する酵素「エムルシン」や動物の腸内細菌「β‐グルコシダーゼ」と呼ばれる酵素の働きによってアミグダリンが分解され、シアン化合物(青酸:HCN)を発生させます。

シアン化合物は非常に強力な毒性を持つ物質であり、細胞のミトコンドリアに存在する酵素「チトクロムCオキシターゼ」に結合し、細胞の呼吸を阻害します。

アミグダリンの摂取量がごくわずかであるならば、人体に悪影響を及ぼす危険性は少ないのですが 多量に摂取してしまった場合、発熱・悪心・嘔吐・頭痛・めまい・皮膚の蒼白・肝障害・異常な低血圧・眼瞼下垂・神経障害による歩行困難・意識混濁・昏睡などの症状が現れ、最悪の場合死に至ります

※1 仁 …胚および胚乳の総称。

※2 ビタミンの定義 …微量で体内の代謝に重要な働きをしているにも関わらず、体内で作り出すことができない化合物。

アミグダリンは熟したビワにも含まれるって本当?

アミグダリンはバラ科に属する植物の種子や未熟な果実に多く含まれる青酸配糖体ですが、熟したビワやウメなどの果実にも含まれているのでしょうか。

アミグダリンは果実が成熟すると「エムルシン」と呼ばれる酵素の働きによって分解され、糖へと変化しますので、熟したビワやウメなどのバラ科の果実には青酸配糖体はほとんど含まれておりません。

ただ、熟したからといって全てのアミグダリンが糖へと変化したわけではなく、人体に悪影響を及ぼさない程度のごくわずかなアミグダリンは果肉に残ったままとなっています。また、熟したビワやウメなどの果実を食べる際に種を傷付けてしまったり、誤って食べてしまった場合、健康への影響は無視できません。

もし、種を傷付けたり、誤って食べてしまった後に身体に何かしらの不調が現れた場合は早急に医師に診てもらうようにしてください

まとめ

かつて「ビタミンB17」と呼ばれていたアミグダリンは、がんや喘息、肝硬変などの慢性の難病を治療することができるとされてきましたが、その科学的根拠が確認されていないどころか、むしろ青酸中毒を引き起こして死に至る恐れがあることが指摘されています。

厚生労働省では、料理レシピの検索サイトや健康・美容に関する情報サイトなどでビワの果実を食べた後に残ったビワの種をデザートやアレンジ料理に用いる際は注意を払うようにと喚起しています。

現段階(2017年12月時点)ではビワの種を使った料理を食べたことによる健康被害は報告されていませんが、これからビワを食べる際は出来る限りビワの種は捨てるようにし、果肉のみを食べるようにしましょう

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